silkscreening
 

蜷川有紀のシルクスクリーンが、Bunkamuraオンライン市場日経カルチャーにて販売中です。

錦繍金色のカナリア
カナリアの夢を見た。「ずっとあなたのことを見ていたのよ。」花盛りの森で金色のカナリアが私にそういった。「ありがとう・・・。」と、小さな声で呟くと、嬉しそうに唄を歌ってくれた。とても、綺麗な声だった。大人になっても忘れない。お豆の上に眠っていたお姫様や、赤い靴を履いてしまって踊りつづけなければならなくなった女の子のこと、タンスの向こうの雪国での冒険・・・。目を閉じて、金色のカナリアの唄に耳を澄ませば、ほらすべてが蘇る。

錦繍
木々の葉が紅く色づく頃私の中で何かが鳴り響く。子供の頃に見た夕焼けの色、忘れかけていた情熱、せつないほど恋い焦がれた何かが溢れ出す。素晴らしい人たちとの出逢い、やさしい人の心に触れたこと、めぐり逢ったすべての出来事に感謝を込めて立ち止まれば、色づく木々の葉がまるで刺繍のように私の時間を埋め尽くしていく。そこまで春がやってきている。

早春
まだひんやりとした空気のなか、陽射しだけがほのぼのと暖かく私を包む。どこかで、白い馬たちが失踪していく。それは記憶の底の街のできごとかもしれない。私は、ひとり凛とした魂を抱いて佇む。空を見上げると青いマントを翻して春の女神が微笑んだような気がした。

ESSEY by YUKI NINAGAWA

※Wacoal PR紙『ユトリエ』の表紙画のために書き下ろした作品です。。


シルクスクリーン | 2007 | Art Works, Products | Comments (0)