- Stills & Criticism
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蜷川有紀のもとに寄せられた、各界を代表する方々からのバラメラバ評です。
たくさんの素敵なメッセージをありがとうございました。





高見恭子(TV Performer・Essayist)
「すごくキレイ」「耳に聞こえる音が気持ち良く好き」「どの場面も好き」「みな記憶できるぐらい何度も見ました」なにしろ「キレイですごく良い作品」「もっと見たい」感動 でした。
  黒川紀章(建築家)
日本の短歌や俳句がそうであるように、短編映画は長編映画よりもっとむつかしい。 それに挑戦した蜷川さんの作品は100%アンリアルで感覚的で本人自身が溶けてしまっている。こんなに溶けてしまってどうするの? 鈴木清順も驚いたに違いない。次の作品が楽しみである。(「バラメラバ」DVD&BOOKより抜粋)
  服部桂(朝日新聞社)
蜷川さんの女優としての原点を見る想いでした。有紀流8 1/2と、勝手に読みつつ自分を納得させるも、なぜかそうした解釈をあざ笑うような眩暈を感じ酔いました。
  阿部知代(TV Announcer)
せつなくて、残酷で美しくて。濃密で幸福な15分間でした。最後、泣いちゃった。与えれば与えるほど豊かになる、というのは神様のお話で、きっと人間は与えれば与えるほど当然のことながらどんどん失って、奪ってもやっぱり失って、失うばっか りで、とうとう自分の畑の実も草もなーんにも無くなった、と思ったところに、1本残っていたちょろい芽が、最期のギフトなのかもしれません。素敵な映画を作って下さって、ありがとう。
  黒川雅之(Product Designer・建築家)
いい本、いい映画できた。まだ、頭の中にイメージが焼き付いている。メリーゴーランドみたいに繰り返す人生かな?僕の頭持っていってくれる人はいないけど、首につなぎ目があるような気がする。おとなの童話だ。
  朝倉摂(舞台美術家)
バラメラバは、不思議な国籍不明の映画である。この映画の作者、蜷川有紀さんは映画以上に不思議な雰囲気のある女性である。イメージをいつまでも持って、自作も新しい作品を創ることをお奨めしたい。そして芝居もやりましょうね。
(「バラメラバ」DVD&BOOKより抜粋)
 

本田英郎(NTT出版)
言葉の最大の意味で「チャーミング」な映画で、そして構築と破壊が共存して いるかのような危うい艶やかさを堪能致しました。

  秋薫里(EX・LOUNGE/AKI-EX代表)
久々に知的文化度を満喫させていただきました。脳裏に残る、不思議な心理的世界、ミステリアスでセクシィーで、男達がさぞ戸惑ったことでしょう。
  レイコ・クルック (造形作家/特殊Makeup Artist)
今度の「バラメラバ」は、女優さんがガンバって創ったものとは思っていない。詩人の、のびやかなイマジネーションがブツブツと発砲し、ポーンとコルクを飛ばして「バラメラバ」になったのだと思う。映画という「ブラックボックス」にまず彼女の想像力をイマージュとしてしっかりとおさめた。それが新しい蜷川有紀のはじまりだと思っている。(「バラメラバ」DVD&BOOKより抜粋)
 


笹公人(歌人)

バラメラバ・・・・・・この遠い記憶を呼び覚ますような言葉は
いったいなんだろう。
いろいろ考えた挙句、ついに僕は、それが
「バラを瞳(め)に映したラヴァー(恋人)」の回文であることを見抜いた。
つまり、「バラ」とは恋人の瞳の中に映った自分の姿なのである。
それは薔薇のように美しい自分かもしれないし、
バラバラ死体の一部としての自分かもしれない。
おそらくどちらでもあり、どちらでもないのだろう。
幼い頃に見た悪夢のように美しすぎる映像は、
美とグロテスクが表裏一体であることを教えてくれた。

 


坂根厳夫(エッセイスト/元ジャーナリスト/IAMAS名誉学長)
それにしても、この物語と映像の世界の奇妙な雰囲気は私がいままで触れることのなかった別次元の世界のようで、新しい発見でした。バラメラバのネーミングも、一種の回文形式にも通じ、そういえば、ここで描かれた二つの世界が、まさにこの名前のように、虚構と現実とが裏表のないメビウスの環的な構造でつながっていることも感じました。私自身はエッシャーの本を何冊か訳したこともあり、メビウスの環的な構造世界には興味をもっていましたが、こんな風になまなましい情念の表白に使われた例は知らなかったので、新しい発見でした。

(※以上、順不同/敬称略 美しい現場スチールは佐藤芳夫さんによるものです。)