蜷川有紀 yuki ninagawa 久世光彦
    

春泥や抱きしめて粉々になる

    

春になりました。みごとに咲いた桜をみていると、「あ~今年も此処に生きているわ。」 と思わずにいられません。鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』のラストシーンで、この世の者ではなくなったチャン・ツィー扮する狸姫とその恋人・オダギリジョーが地上を見降ろして「あ、さくら!」と小さく叫ぶシーンが思い浮かびます。地上は、苦しいことや悲しいことがいっぱいあるかもしれないけど、でもやっぱり素晴らく愛しい場所です。
桜の花の下には、死体が埋まっているという物語がありますが、桜を見るたびに、このよのものではなくなった愛しい方達のことを思い出します。
今年3月2日に他界されたTV演出家・作家の久世光彦さんが私が少女の頃、書いてくださったエッセイをご紹介します。久世光彦さんのご冥福を心からお祈りしつつ‥‥。久世光彦TVシアター/悦楽的女優論3 より
(雑誌「ブルータス」1978年頃)

Et Tu, BRUTE?

    

2006年4月吉日
蜷川有紀
By Yuki Ninagawa


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