蜷川有紀 yuki ninagawa 花鳥都市
    

母の日は花に埋もれて一度死ぬ

    

五月の気持ちよい季節です。
新緑が目にまぶしく、何か嬉しいことが起こるような予感がします。
母の日は、世のお母さん方は子供たちから沢山の愛情をいただき、
嬉しくてせつなくて窒息しそうになるのではにでしょうか?
わたしの友人が、先日こんなこととを言っていたのを思い出します。
「子供からこんなにも愛されて‥‥。私にはそれほどの価値があるのかしら?
と思うときが時々あるのよ」と。
母が子を思う気持ちはせつないくらい深いけれど、子供が母親を思う気持ちも
それに優るとも劣らないほどのものなのだということに気がつきました。四月の末に、友人の俳優・加藤善博さんがなくなりました。才能のあるいい俳優でした。
才能を持て余しすぎて、自分自身を傷つけて逝ってしまったように思われてなりません。
結婚式の日、私がしたお祝いのスピーチに大泣きした彼を思い出します。
大変残念なことですが、この場をかりてご冥福をお祈りいたします。なお、上の句はこの春上梓した『花鳥都市』水野麗句集の中の一句。
窒息しそうなほど、愛し愛される気持ちが表れている一句です。
おなじく挿し絵は、私・蜷川有紀の作品です。
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栞文(笹公人/榎本バソン了壱/蜷川みほ/蜷川有紀)
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2007年5月10日
蜷川有紀
By Yuki Ninagawa


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