- Stills & Criticism-
蜷川有紀のもとに寄せられた、各界を代表する方々からのバラメラバ評です。 たくさんの素敵なメッセージをありがとうございました。
本田英郎(NTT出版) 言葉の最大の意味で「チャーミング」な映画で、そして構築と破壊が共存して いるかのような危うい艶やかさを堪能致しました。
笹公人(歌人) バラメラバ・・・・・・この遠い記憶を呼び覚ますような言葉は いったいなんだろう。 いろいろ考えた挙句、ついに僕は、それが 「バラを瞳(め)に映したラヴァー(恋人)」の回文であることを見抜いた。 つまり、「バラ」とは恋人の瞳の中に映った自分の姿なのである。 それは薔薇のように美しい自分かもしれないし、 バラバラ死体の一部としての自分かもしれない。 おそらくどちらでもあり、どちらでもないのだろう。 幼い頃に見た悪夢のように美しすぎる映像は、 美とグロテスクが表裏一体であることを教えてくれた。
坂根厳夫(エッセイスト/元ジャーナリスト/IAMAS名誉学長) それにしても、この物語と映像の世界の奇妙な雰囲気は私がいままで触れることのなかった別次元の世界のようで、新しい発見でした。バラメラバのネーミングも、一種の回文形式にも通じ、そういえば、ここで描かれた二つの世界が、まさにこの名前のように、虚構と現実とが裏表のないメビウスの環的な構造でつながっていることも感じました。私自身はエッシャーの本を何冊か訳したこともあり、メビウスの環的な構造世界には興味をもっていましたが、こんな風になまなましい情念の表白に使われた例は知らなかったので、新しい発見でした。